
今回は水木しげる先生の大傑作『墓場鬼太郎』に焦点をあてています。
誰でも馴染み深い妖怪対決の鬼太郎の原点でありますが、今まで観てきた鬼太郎とは違う“怖さ”と“ダーク”さ、そして“オチの無い展開”で巷を賑やかしました。
そんな『墓場鬼太郎』のなんとも言えない魅力を、作品とともに簡単に紹介します。
こちらはNEVERまとめ(2020年9月30日にサービス終了)で執筆した「【アニメ】ダークな鬼太郎「墓場鬼太郎」をたっぷり堪能する。」の移行記事になります。また、他のダークなアニメとしては「絶望の恐怖!アニメ『オーバーロード』が最高に面白くてグロイ…!」なども紹介しておりますので是非ご覧ください。
さぁ、墓場鬼太郎でダークな気分を味わおうか。
アニメ『墓場鬼太郎』とは?
鬼太郎が少年誌で連載される前の貸本版として描かれていた『墓場鬼太郎』が原作となっています。
内容やキャラクターデザインが当時のものを踏襲しており、我々が知っている鬼太郎ではなく怪奇漫画風となっているのが神髄。
鬼太郎には野沢雅子、ネズミ男には亡き・大塚周夫がという鬼太郎初期の声優が復活したことでも有名。
そして目玉親父にはり田の中勇がつとめるという最強布陣。
一番好きな深夜アニメは墓場鬼太郎だよ
— 桂 (@wp3257252) July 1, 2020
アニメ『墓場鬼太郎』ストーリー
昭和30年代が舞台。
終戦から10年が経っており高度経済成長が急加速で進行中であったが、富を得られたモノと社会の底辺で泥まみれになりながらも生き抜いている人々で溢れている。
そんな社会でも、”幽霊族”最後の生き残りとして墓の中から生まれたのが鬼太郎であった。
その鬼太郎が雄叫びを上げたことにより、色々な社会情勢と時代が突き進んで行く物語。
実際のオープニングアニメでは原作漫画をそのまま取り込んだかのような白黒画面で、一部のみに着色して動かす画面構成になっています。公式の電気グルーヴ 『モノノケダンス』でも、同じような取り組みのPVなのも大きな特徴。
アニメ『墓場鬼太郎』をたっぷる堪能するには?
観る「観客」にまったく媚びていない描写。
(C)水木プロダクション・墓場鬼太郎製作委員会
始まりから終わりまで『墓場鬼太郎』が大好きな人にしか焦点が合っていない展開に、度肝を抜かれます。
昭和30年という設定の為に東京オリンピックもまだ開催されていないのもリンクし、メインを張っている主要登場人物がどんどん死んで行く展開がまた凄い。
鬼太郎がとねずみ男、さらには目玉おやじの異質な設定、そしてホラーテイストに仕上がっているのに全くオチの無いという珍妙さ。
これが観るものを惹きつけるのが墓場鬼太郎を堪能するポイントの一つです。
この『墓場鬼太郎』はいつも見ている”鬼太郎=ヒーロー”では決してない。
(C)水木プロダクション・墓場鬼太郎製作委員会
墓場から突如生まれた幽霊族最後の生き残りというだけで、特別な力は全くない。
そして人間を助ける為でも社会に貢献するわけでもなく、使命も無いのが墓場鬼太郎なのです。
ですが、“どこかでヒーロー(人間を助けるなど)として活躍するんじゃないか?”と期待してしまうのですが全話鑑賞しても期待を裏切られる。
このヒーローとして活躍しない墓場鬼太郎に打ちのめされながらも楽しんでしまうのが、堪能できるポイントの一つかもしれません。
肌で感じ取れる『墓場鬼太郎』の鬼太郎の怖さ。
(C)水木プロダクション・墓場鬼太郎製作委員会
ストーリー毎に焦点を当てられる欲望のままに右往左往している人間を見ては「人間っておもしろい生き物ですね」と言う、鬼太郎のセリフが的を得すぎて怖いのがこのアニメ。
そして、鬼太郎もさることながら”ねずみ男”や”目玉おやじ”という脇役が素晴らしく場面を引き立てて、高度経済成長である現代人の接し方、そしては他者との付き合い方に対しての立ち回りは、観ていて勉強になります。
鬼太郎自身を良くしてくれた恩人が助けを求めても決して助けなくて見捨てる、そして自分中心の鬼太郎が観れるのがこの作品。
こんなアニメが面白くないわけがない。
とにかく『墓場鬼太郎』腹黒いのが良い。
(C)水木プロダクション・墓場鬼太郎製作委員会
この作品ではネズミ男が現代で儲けるためにお金儲けを企みますが、鬼太郎自身も同じことをします。
好きな女の子をおいかけ回したり、日常的にも喧嘩もする。
よくある妖怪対決なんて場面は志度皆無で、というか人間の社長に雇われて妖怪から借金の取り立てに行ったりする鬼太郎が観られます。
最後に。
一風変わった鬼太郎を味わいたい人は是非にでも鑑賞をおすすめします。
決してヒーローではなく、人助けもせずに私利私欲に展開されるこのアニメ。
たまには昭和30年代のノスタルジックを味わってみるのもいかがでしょうか。
今までの鬼太郎の常識が覆されますよ。
ではでは!
水木しげる先生が大好きな魁堵(かいと)でしたー!